結核、エイズの歴史を知っていますか?

前回の記事では、天然痘とペストの歴史について書きました。

今回は医療関係者ではなくても、普段からよく耳にする

「結核」と「エイズ」の歴史について書いていこうと思います。

 

③結核:

古代エジプトのミイラに結核の典型的な痕跡がみられることから

紀元前から結核が存在していることが知られています。

日本では弥生時代の遺跡から出土した人骨から

骨結核が認められているようです。

何千年もの間、結核は人類を苦しめ続けていますが、

爆発的な結核の流行があったのは産業革命以降の繁栄したイギリスです。

1830年のロンドンでは5人に1人は結核が原因でなくなったと

報告されており、「白いペスト」とすら呼ばれていました。

 

もちろん日本も例外ではなく、1900年から1920年までは死因の第一位は結核でした。

さらに、1935年から戦争が終わるまでの約10年間は

再び結核が日本人の死因の第一位になっていました。

これは栄養状態の悪化による免疫の低下が

主な原因と考えられているようです。

結核による死亡者数と死亡率は以下の通りです。

(参照:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-1-1-03.html)

 

また日本文学でも、徳富蘆花の「不如婦」や

堀辰雄の「風立ちぬ」は結核を扱った作品として

広く知られています。

それくらい、当時の日本にとって結核とはなじみ深い感染症だったようです。

長年、苦しめられた結核ですが1882年に

ドイツ人の医師であるRobert Kochによって結核菌が発見されました。

これをきっかけに結核に対する医学が発展していきます。

その発展の中でも人類に絶大なる利益をもたらしたのが、

 

・1931年に開発された結核に有効なBCGワクチン

・1944年に誕生した世界初の結核治療薬であるストレプトマイシン

・1952年に新たに開発された結核治療薬であるイソニアジド

の3つです。

 

これらによって、結核による死亡率が低下しました。

しかし、低下したといっても依然として結核は人類にとって大きな脅威です。

ご存じの方も多いかと思いますが、

1985年にWHO(世界保健機関)が結核非常事態宣言を、

1999年には厚生労働省が結核非常事態宣言を出しています。

 

意外に思うかもしれませんが、日本も先進国の中では

「中蔓延国」に分類されています。

要するに、先進国の中ではそこそこ流行しているということです。

 

以下に結核患者の新規発生数の推移を貼っておきます。

(参照:国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/tuberculosis-m/tuberculosis-iasrtpc/7725-454t.html)

2016年においては新規感染者数が18000人弱、

死亡者数が約1800人となっています。

 

ワクチンが完成し、標準治療が確立されてもなお、この数値です。

この先も、人類は結核と戦っていかなければなりません。

 

 

④エイズ:

2020年現在ではエイズといえば知らない人はほとんどいない程、

有名になっていますが、その歴史は非常に浅く1981年に登場しました。

エイズと疑わしい症例は以前から存在していましたが、

1981年に男性同性愛者で初めて報告されました。

その後の研究でエイズウイルス(HIVのこと)に似たウイルスが

チンパンジーから見つかりました。

つまりHIVはチンパンジーから種族を超えて人間に感染しました。

 

HIVに感染し発症してエイズになると免疫を司っている細胞の数が

10年以上の月日をかけてゆっくりと現象していきます。

免疫細胞の数が減少すると、健常人ではかからないような

感染症にかかって重症化して死亡する可能性が高くなります。

 

 

以下に日本国内における、日本人と日本在住外国人の

HIV感染者及びAIDS患者の年次推移を貼っておきます。

2008年を境に新規HIV感染者数が減少に転じています。

新規エイズ発症者数に関しては毎年、数十人の増減があります。

2018年では合計約2万のHIV患者がいます。

(参照:https://api-net.jfap.or.jp/status/2018/18nenpo/hyo_03.pdf)

 

 

 

また、世界規模で見てみましょう。2018年の世界において

・エイズ患者数:4000万人前後

・新規感染者:200万人前後

・エイズ関連死:77万人

 

以前はエイズといえば、不治の病でしたが、現在は抗HIV薬が進化したことによって

適切な治療をしながら症状をコントロールして

普通の生活を送ることが出来ます。

これにより、エイズ患者の寿命が延び、死亡率が低下傾向にあります。

HIV(発症したらエイズ)との戦いはまだ続きますが、

今後も人類が上手にコントロールして、勢力を抑えていくことが出来るでしょう。

 

次回はマラリアの歴史についてまとめます。

 

 

参考文献:

http://www.chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse1648.pdf#search=’%E7%B5%90%E6%A0%B8+17%E4%B8%96%E7%B4%80+%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91′

https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/398-tuberculosis-intro.html